今回も螺旋プロジェクト作品のご紹介です。
今回紹介する作品は、大森兄弟『ウナノハテノガタ』です
正直……読みづらい作品でした
ただ、解説を見ると、『時代やキーワード等の縛りがあったからかなぁ〜』と、納得の部分もありました
そういった意味では、大森兄弟の他の作品に興味を持つきっかけになって良かったです!
私は『ウナノハテノガタ』が初の大森兄弟作品でしたが、本作品を通して、ファンタジーの中に所々リアル感を出してくるが味なのだと感じました
ますます、大森兄弟作品が気になる🤔
このように、はじめましての作家に触れる事が出来るのが、螺旋プロジェクトの良さでもありますね
あらすじ
海の民の少年オトガイは父からある役目を引き継ぐ。
山の民の少女マダラコは生贄の儀式から逃れて山を下りる。
二つが出会い、すべてが始まる原始の物語。
感想
先にも書いたように、正直読みにくい話でした…
しかし、固有名詞のない原始時代という舞台で、螺旋プロジェクトの『山族と海族の対立』を書き上げたのは本当にすごいです
諸々の縛りがない大森兄弟の作品が、どんな雰囲気なのか気になります
特殊な単語にタジタジ
個人名、部族名、役職名、擬音と全部カタカナで、「これは誰?役職名?物の名称?」と混乱してしまいます😵💫
また、現実には存在しない、且つ、フィクションも混ざっているため、不思議現象もそれが現実に起こっているのか、キャラクターの妄想なのか、話の設定や流れをキャッチしづらいです
変にリアルでグロテスク
作風なのかもしれないですが、結構グロテスクな描写がしっかり表現されています
更に擬音が多いため、やけにリアルに感じます
ぼとりと重たい音が落っこちて足が止まる。
ふさふさと毛の生えた太った腹がねじれて、黄色い汁が飛び出ている。
ひしゃげた、青黒く光る羽。
もげかけた、小さくふるえる細かな脚。
可愛いパッケージに騙されるな!
面白くなるまでが長い
個人的には7割ぐらい読んでやっと面白くなってきたように思います
上記の通り、言葉遣いに慣れるまでかなりキツイ
尚、人それぞれの好き嫌いはあると思いますが、終わりも私の好みじゃないかな…(好きな人はいるはず)
付録の座談会が面白い
螺旋プロジェクトに参加した作者の座談会が付録として掲載されています
裏話が満載なので、これだけでも読む価値があり
この解説を読むと、『ウナノハテノガタ』の印象も変わります
心に残るシーン(ネタバレ有り)
笑わせる
笑わせる。
あの親子はレフタイみたいなものだ。
野鼠しか取れない日が続いたから、妙な病にかかったから、雨が降らないから、降りすぎるから、主の木をなだめるためにだれかを燃やす。
でたらめだ。
読者の私達は、彼らより知識があるから、馬鹿げたことをしていると笑えるし、イライラするけど
もし、この世界に自分もいて、彼らと同じように無知だったら
自分はどんな行動を取るだろうか?
今と同じ考えができるのだろうか?
自分の意志を持って居続けられるだろうか?
まっさらな自分について考えてしまいました
ウェルカセリの涙
カリガイとオトガイが、こうして山のものたちとまざり合っているのが、嬉しいのだと。
助け合うその姿が尊いのだとオトに言う。
わからない。でも、ヤマノベとイソベリを分けたままにしておきたくて、見張っているのは、ウェレカセリだよ。
山と海の対立を見てきた螺旋読者としても、ウェルカセリの気持ちがよくわかります
どうしても争いが起こることは分かっていても、どうかこのまま平和であれ!と思ってしまいます
ちなみに、ウェルカセリは他の螺旋作品にも登場しています
私も気が付きませんでした…
伊坂作品に出ていたらしいので、再チェックします
まだ伊坂幸太郎の螺旋作品を読んでない人はこの記事もオススメです
まとめ
正直、かなり読みづらい作品でした。
でも、螺旋プロジェクトの根幹である『山族と海族の対立』の物語が始まる重要な作品です
読まずに他の作品に行くなんて、勿体ないです
また、大森兄弟作品に興味を持つきっかけにもなるため、オススメです
是非、手に取ってみてください🙂
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