※本サイトで紹介している商品・サービス等の外部リンクには、アフィリエイト広告が含まれる場合があります。
【残像に口紅を】って面白いの?
今、SNSで話題の作品だよね!
先日、本作を読み終えたので、本音でレビューしていこうと思います。
こちらの小説が気になっている人は、参考にしてみてください。
あらすじ
「あ」が使えなくなると、「愛」も「あなた」も消えてしまった。世界からひとつ、またひとつと、ことばが消えてゆく。愛するものを失うことは、とても哀しい……。言葉が消滅するなかで、執筆し、飲食し、講演し、交情する小説家を描き、その後の著者自身の断筆状況を予感させる、究極の実験的長篇小説。
残像に口紅を -筒井康隆 著|単行本|中央公論新社 (chuko.co.jp)より抜粋
物語はすでに「あ」が消えた状態から始まります。
え!もう!
この小説には、「あ」という文字も、「あ」が使われる言葉も、
初めから一切登場しないです。
言葉がなくなり、コミュニケーションが困難になると、社会秩序は崩壊し、人々の生活に大きな混乱をもたらします。
それは、物語の作り手でもあり、主人公でもある佐治も同じです。
言葉が失われることへの恐怖と、周囲の人々の変化に、彼は次第に苦悩していきます。
そして最後に残った文字とは…?
本作は極限的な状況を通して、人間性を巧妙に描き出した作品です。
こんな人にオススメ
一つでも当てはまる人、必見です!
それでは1つずつ解説していきます。
奇抜な設定が好き
本作は、実験的小説といわれるだけあって、かなり独特な設定となっています。
◎主人公は小説の中で生活している。
主人公である、佐治は自身が物語の登場人物であること、自身の生活は物語の中であることを知っています。
もうすでに、頭が追い付かない…
つまり、小説の続きが現実世界で起こっているという小説を私たちは読んでいる。ということです。
今はよくわからなくても大丈夫!
本作を読んでいるときは、作者の巧みな言葉紬で、
この設定もすんなり受け入れることができます。
◎徐々に文字が失われる。
物語は徐々に言葉が失われていく世界です。
SNSの紹介で見た!
私が特に気に入ったのは、この現象は何かの自然現象だったり、天変地異だったりするのではなく、主人公の佐治が自ら作り出した設定だということです。
小説家の佐治は「実験」として、言葉が徐々に失われる物語を自ら考え、その世界の中で自分も物語の主人公として作品を面白くするため行動します。
主人公たちは、言葉の消滅の原因を知っているから状況も受け入れられますが、
(というか言葉を世界から消している張本人なのですが…)
その他の人々は何も知らず、理由もわからないまま唐突に言葉がなくなっていきます。
本作は登場人物、読者を巻き込んだ、壮大な実験です。
その他にも実験的な小説となっていますが、その話はまた別の機会に、、、
ちょっと難しい言葉への抵抗が少ない
昔の小説にある、古い言葉や、堅苦しい言葉が多用される作品のため、難しい言葉に抵抗がある人は、読み進めるのに苦労する箇所が出てくるかもしれません。
難しいことはちょっと苦手だな…
でも、話は気になるから読みたいけど、最後まで読み切れるかな…
そんな人でも大丈夫!
時代モノや、お堅い書物を読むのが苦手な私でも読み切れたコツを紹介します。
- 細かいことは気にしない。
- 言葉一つ一つにとらわれない。
- 意味は分からないのが正解。
言葉がなくなっていく世界なで、数少ない文字の中から言葉を作るのです。
しかも、言葉を紡ぐ主人公は小説家。
意味の分からない、難しい言葉が出てくるのはしょうがないです。
「この言葉の意味って何だろう?」とググるのは、小説を読破してからにしましょう。
この小説で大切なことは、先に進んでいくことです。
一つ一つの言葉の意味にとらわれるのではなく、言葉がない中で物語が進んでいくことに注視することがコツです。
今、誰が、何をしているか、だいたいわかればOKです。
話題作は把握しておきたい
本作は今話題の作品に間違えないでしょう。
TickTockの本の紹介から、TV番組「アメトーーク!」でカズレーザーさんが紹介していたりと、数多くのメディアで取り上げられています。
私もInstaの動画を見て、興味がわきました!
ただ、本の表紙を見てホラー系!?怖いのはちょっと苦手でと中々手に取れず…
それでも気になり読んでみると、想像とは全く違った作品でした。
読み終えた後にググってみたところ「実験的小説」という言葉を見かけ、すごく納得しました。
そして1989年に発表されてから、実験は続き、今では21世紀に再ブレークという結果を残しています。
すべてにおいて流石です。
実際に読んだ感想
◎読みずらさは否めない
正直、読書好きではない方は読破するのに苦労するかと思います。
設定が難しく、言葉もだんだん難解になり、読み進めるのが厳しくなってきます。
本好きの私でも、途中めげてしばらく読まない期間もありました。
ただし、終盤の文字がほとんどない状態でどうするのか?最後はどう終わるのか?気になり読破しました。
読み進めると、ほとんど言葉がない終盤でも、ストーリーの展開があり、「お!まだ盛り込んでくるの!」と筒井康隆さんの凄さを実感します。
あきらめず最後まで読んで正解でした!
◎感情移入して感動するような話ではない
心が温まる物語、最後はスッキリする物語など色々心が動かされる小説は多々ありますが、本作はそういった類のものではないです。
もちろん、話の中で感じ取る部分は多々ありますが、他のストーリーメインの小説とは異なりますが、
物語に入り込むことはなく、一観察者として小説の中の登場人物の言動や、感情の動きを見届けるような感覚です。
これまでの小説の概念を覆す、唯一無二の作品です。
◎やっぱり筒井康隆さん、凄すぎる!
読む前から、読んでいる最中から、そして読み終えて、作者の筒井さんの凄さを感じました。
実験的な小説という発想、言葉の消滅という設定を思いつくところ、数少ない言葉で物語を紡ぎ、小説を完成させるところ、凄すぎます。
さらに、物語自体も平凡な日常の描写のみではなく、ちゃんと事件が起こりまくります。
筒井さんの他の作品も読んでみたくなるね~
筒井作品といえば、「時をかける少女」「パプリカ」など、アニメ映画の原作も有名だよね。
まとめ
読書に慣れていない方は、読み切るのが大変な作品かもしれませんが、めげずに読む価値ありの作品です。
世代を超えて話題になるだけの理由があります。
気になる方はこちらから〜💛
コメント